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推理小説/著者:秦建日子

 同じ場所で会社員と女子高生が殺される。事件現場には犯人が残していったと思われる栞(しおり)には“アンフェアなのは、誰か”と書かれていた。

 警視庁捜査一課検挙率NO.1の雪平夏見。30代。バツイチ。子持ち。(しかし子供には過去の出来事が原因でものすごく嫌われている。)美人なのだが、大酒飲みで部屋は汚く、その傍若無人の性格から周囲からは敬遠されている。

 雪平が相棒の安藤と捜査を進めるなか、第三の殺人が起きる。大勢の人間が出席する出版社主催のパーティーのさなか、招待されていた出版社の編集者が毒殺された。そして、他の編集者のスーツのポケットからまた同じ栞が見つかる。

 そして犯人から各出版社と警察に『推理小説・上巻』と名づけられた小説が届いた。その小説にはそれまでの事件の詳細と次の殺人予告が綴られており、次の殺人を防ぎたければ小説の続きを落札せよ、との犯人のメッセージも添えられていた。

 果して犯人の狙いとは・・・。

 話としてはどうなのよ?というのが率直な感想である。この物語で良かったと思える点は二点のみ。ゆえに★も2つである。

 まず1つは場面ごとの描き方である。野沢尚氏の著作を読んだ時にも感じた事だが、1つ1つの場面の映像が頭に浮かび易いのである。これはシナリオライターとしての職業柄なのだろうか。

 そして2つ目は主人公の女刑事・雪平夏見の魅力的なキャラクター設定である。検挙率NO.1で仕事はできるのだが、その性格から組織からは浮いた存在である。相棒である安藤が雪平を評する言葉が妙に印象的である。その言葉とは“無駄に美人”という言葉である。美人であることが無駄だと言う程、女性として意識できない存在である。大酒を毎晩のように飲み酔っ払って全裸で眠ってしまい、安藤が起こしに行った時も平然と全裸で動き回る、あまりに平然としていて、目のやり場に困っている安藤の方が普通ではない印象を受けるくらいだ。

 だが、本作では雪平のキャラクターを生かしきれていないように思われる。犯人もすぐにわかるし、推理小説としてのおもしろさは無かった。この雪平が魅力的なだけに残念である。

 余談だがこの文庫についている栞は、犯人が現場に置いていく栞を模したものである。ちょっとした事だが見た瞬間、この心遣いが少し嬉しかった。