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忘れ雪/著者:新堂冬樹

 両親を一度に亡くし、伯父夫婦にひきとられた深雪は表面上は明るい風をよそおっていたが心を固く閉ざしていた。深雪が一息つける場所・マリア公園で、別の伯父夫婦にひきとられ京都に行かなければいけない事を考えていた時、哀しげな弱弱しい犬の声を聞いた。

 その子犬は寒さにふるえ、その上右の太ももを怪我していた。少女は願った。祖母が教えてくれた“忘れ雪に願い事をすれば必ず叶う”という事を信じて“この子犬を助けて”と。

 その時一人の高校生が通りかかった。彼の名前は桜木一希、近所の動物病院の息子で子犬を助けてくれたのだ。京都に行くまでの1ヶ月の間、深雪と一希は毎日のように子犬の散歩の時に会い、深雪は一希に恋心を抱いた。

 いよいよ明日は京都に行かなければいけないという日に深雪はある約束を一希にもちかける。7年後の3月15日、マリア公園で待っているので、来て私にプロポーズをして、という約束を。

 そして月日は流れ8年後・・・。

 犬好きの人は、この装丁にだまされて買ってはいけない。この装丁、犬好きの人にはたまらない。見たら思わず手にとってどのような話だろうとあらすじを読んでしまうだろう。そしてあらすじにはすれ違う男女のラブストーリーといった内容が書かれている。恋愛小説が苦手でなければ買ってしまうだろう。しかし、途中犬好きにはたまらない(もちろん負の意味で)部分がある。

 もちろん、犬のほほえましい部分もある。しかしそれ以上に人間のエゴに利用され、更に手段の一つとして利用される犬が登場するのである。正直この部分はつらかった。小説だという事はわかっているが、なんで?という気持ちが大きかった。

 さて物語り自体はというと、『いつまですれ違い続ける男女の事を延々と読まなければいけないのかなぁ』と感じていると、途中でガラッと雰囲気が変わる。ラブストーリーからミステリーへと突然転換するのだ。その点が意外だったので★一つという評価である。

 しかし、ラストもこうなるんだろうなぁと思っていたら本当にそうなってしまい、ありゃりゃという感想。感動的なラブストーリーのラストを書こうと思って書いたらこうなるだろうというパターンだった。

 とにもかくにも犬好きが思わず目をひかれる装丁で、犬好きが一番読みたくない描写がある物語である。