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MOMENT/著者:本多孝好

 “僕”が死にゆく人の最後の願いをかなえようとする連作短編集。

 幼なじみの森野から紹介してもらい、病院の清掃員のバイトをする僕。

 病院には一つの噂話がる。それは死を前にした患者の前にだけ現れ、その患者の最後の願いをかなえてくれるという仕事人がいて、その仕事人は普段清掃員をしているという噂だ。

 実は僕がしている事である。僕は死を目前にした患者さんの最後の願いを僕ができる範囲でかなえてあげる。そんな僕にまた最後の願いをかなえてほしいという患者が現れる。

 彼の名前は三枝さん。彼の最後の願いはある家族に近付き、幸せかどうか見極める事。不思議に思いながらも僕はその家族にうまく近付き、幸せかどうか見極めようとすする。(『FACE』より)

 装丁に一目ぼれして買った作品。ぜひ実際に書店で見てもらいたい。本当にきれいな装丁である。本にはたいがい帯があり、その文句にもかなり魅力があるのだが、その最大の宣伝効果を持つ帯ですら邪魔だと思う程の装丁の美しさである。はっきり言って星3つの評価の内2つは装丁分である。

 内容は期待していた程ではなかった。この作者のデビュー作『MISSING』にはあった読み終えた後胸に響いてくるものがこの作品には無かった。

 主人公・神田は自分と折り合いがつけられない。したい事・なすべき事がわからず今の自分をどうしていけばいいかわからない。だから、死を目前にした患者の願いをかなえてあげようとする。そうしていけば自分の願いを見つけれるかのように。

 最終話の表題作でもある『MOMENT』で神田は患者の願いよりも自分の願いを優先させ、自分の周りにあるものに目を向け始める。この作品はそんな主人公の成長物語と言っても過言ではない。しかし、どうにもこうにもこの主人公がただの甘ったれとしか私には思えなかった。なりゆきにまかせ生きていて、自分の周囲で起きている事から目をそらし他者の気持ちに対して関心が無い。全てにおいて無気力なのだ。

 主人公が好きになれない。それは小説を読む上でその物語を楽しめない一番の理由になり得るのだ実感した作品だった。