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事故で視力を失い、たった一人の肉親の父も失って一人で孤独に暮らすミチル。たった一人の友人を除いて訪れる者も無く、暗闇のなかで常に一人で生きているミチルだったが、ある日自分を包む暗闇の微妙な変化に気付く。誰かいる、しかし身を守るため気付かぬふりして過ごす事に決める。
家族から離れ、職場の同僚からも距離をおき孤独に暮らすアキヒロ。ある日同じ駅を利用する職場の先輩がホームから突き落とされて死んだ。その先輩と仲がうまくいってなく、ホームにたった一人でいたアキヒロは犯人として追われる。そんなアキヒロの目に映ったのは目の見えないミチルが住む家だった。
ミチルに気付かれないよう、アキヒロは物音を立てず息をひそめ居間の片隅で暮らし始める。
孤独な二人の奇妙な同居生活は、二人を変えていき・・・。
両親を一度に亡くし、伯父夫婦にひきとられた深雪は表面上は明るい風をよそおっていたが心を固く閉ざしていた。深雪が一息つける場所・マリア公園で、別の伯父夫婦にひきとられ京都に行かなければいけない事を考えていた時、哀しげな弱弱しい犬の声を聞いた。
その子犬は寒さにふるえ、その上右の太ももを怪我していた。少女は願った。祖母が教えてくれた“忘れ雪に願い事をすれば必ず叶う”という事を信じて“この子犬を助けて”と。
その時一人の高校生が通りかかった。彼の名前は桜木一希、近所の動物病院の息子で子犬を助けてくれたのだ。京都に行くまでの1ヶ月の間、深雪と一希は毎日のように子犬の散歩の時に会い、深雪は一希に恋心を抱いた。
いよいよ明日は京都に行かなければいけないという日に深雪はある約束を一希にもちかける。7年後の3月15日、マリア公園で待っているので、来て私にプロポーズをして、という約束を。
そして月日は流れ8年後・・・。
同じ場所で会社員と女子高生が殺される。事件現場には犯人が残していったと思われる栞(しおり)には“アンフェアなのは、誰か”と書かれていた。
警視庁捜査一課検挙率NO.1の雪平夏見。30代。バツイチ。子持ち。(しかし子供には過去の出来事が原因でものすごく嫌われている。)美人なのだが、大酒飲みで部屋は汚く、その傍若無人の性格から周囲からは敬遠されている。
雪平が相棒の安藤と捜査を進めるなか、第三の殺人が起きる。大勢の人間が出席する出版社主催のパーティーのさなか、招待されていた出版社の編集者が毒殺された。そして、他の編集者のスーツのポケットからまた同じ栞が見つかる。
そして犯人から各出版社と警察に『推理小説・上巻』と名づけられた小説が届いた。その小説にはそれまでの事件の詳細と次の殺人予告が綴られており、次の殺人を防ぎたければ小説の続きを落札せよ、との犯人のメッセージも添えられていた。
果して犯人の狙いとは・・・。
私・水村美苗は、小説を書きながらアメリカ・スタンフォード大学で日本近代文学を教えていた。ある日一人の男が私を訪ねてくる。彼の名前は加藤祐介。彼は一人の男について私の話を聞きに来た。その男の名前は東太郎。
男は私が家族とともにアメリカ・ニューヨークに住んでいた頃、父がなにくれとなく面倒をみていた男だった。東は父の会社に勤め始めてから、その努力と才能でめきめきと頭角をあらわし、後には大金持ちとなった男だった。
祐介は東太郎について語りだした。その壮絶な恋の事を。
センター試験を直前に控えた冬の大雪の日、深月を含めた進学校・青南学院高校に通う三年生の8人は校舎に閉じ込められてしまう。
来る時にあいた玄関は開かず、窓も開かない。壊す事も出来ず、他の生徒も先生も来ない。完全に閉じ込められてしまった8人。
話し合っていくうちに8人はある事に思い当たる。学園祭で自殺した友人の名前が誰一人思い出せない。死んだのは誰なのか?8人を閉じ込めているのは、自殺した一人なのか?その自殺について思い出そうとする8人だが、一人また一人とその世界から消えていく。
不安と恐怖の中、彼らは必死で思い出そうとする、忘れてしまった友人の名前を・・・。
しかし、思い出せずまた一人消えていく。
阪神大震災の朝、遠く離れたところにあるN県警本部にも激震がはしる。たった一人の警察官の失踪、だがその失踪した不破警務課長は県警の幹部であり上からも下からも人望が厚く、頼りにされていた。なぜ不破はいなくなったのか?事件?事故?本人の意思?
様々な思いを抱え、様々な推測をする県警の幹部達。そこには不破の安全の心配より、組織としての対面・保身を心配する気持ちばかり。相手を出し抜きたい、相手に知られたくない、そんな気持ちが働き情報を小出しにするばかりで、捜査を進めようという気持ちは少ない。
果して、不破はどこにいってしまったのか?組織の対面は護れるのか?
7つの短編集。
「どうせ行くのなら、二度と行けない遠いところ、地球の裏側にしよう。」と不倫していた私と小学校の教頭・池辺が夏期休暇を利用して、誰も自分達を知らない土地・キューバへと旅立った。池辺には妻も娘もおり、人目を忍ぶ密会を余儀なくされていたが、人生でたった一度思い切った事をしようと旅行を計画したのだ。
両方の世界という意味の「アンボス・ムンドス)という名のホテルに泊まり人目をはばかることなく夢のような日々を過ごして帰国した直後、世間の非難の嵐が私と池辺を待っていた。
私が担任するクラスの女の子の不慮の死。連絡が同時に取れなかった私と池辺の不倫関係は周知の事実となる。
しかし、その事故には悪意が見え隠れし、それを探っていくうちに私は信じられない事実に気付く。(表題作「アンボス・ムンドス」より)